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Freaky Friday フリーキー・フライデー

アメリカ映画 (1976)

1972年にメアリー・ロジャースによって書かれた同名原作の最初の映画化。いわゆる「入れ替わりもの」の中でも、先駆的な存在。登場人物は、原作と同じで、主人公は13歳のアナベル、彼女には6歳の弟ベンがいて、アナベルは「サル顔」と呼んでいる。アナベルのかつての幼友達ボリスも登場する。原作との違いはアナベルと母が体験する内容や、父親の仕事の関係。この後に作られた多くの「入れ替わり」映画と異なり、アナベルと母の入れ替わりには、何の魔法も秘宝も介在しない。ただ単に交換するだけ。この原作はTV映画を含めれば4度映画化されているが、劇場用は2003年版。ここでは、アナベルはアナに、ベンはハリーに、ボリスはジェイクになり、母は専業主婦から、シングルマザーのセラピストに、父は、職業不明の婚約者に変わっている。「入れ替わり」の仕方は、中華料理店の女店主の母が渡したフォーチュン・クッキーが契機となったため、邦題は、そのまま『フォーチュン・クッキー』にされた。登場人物の名前まで変わっているので、すべてのシチュエーションが変わり、似ているのは、①母と娘が入れ替わり、②最後に、父と弟が入れ替わろうとする、の2点くらい。1976年版が、13日の金曜日という1日に起きたことに集中し、ドタバタ喜劇調なのに対し、2003年版は、数日間にわたるドラマで、いつ入れ替われるかどうかも判らず、人物描写に時間を割くなど、映画の雰囲気はかなり違っている。弟ベンも、1976年版では、姉に対する真の思いを述べるなど、出番の少ない割に、ある程度重要な脇役になっているが、2003年版では出番は多いが背景の一部に過ぎない。

スパーキー・マルクス(Sparky Marcus)は1967年12月6日生まれ。撮影は1976年3月なので、撮影時は8歳。「完璧な歯をした聖人みたいな青い目の男の子」という設定だが、それほど可愛いわけではない。子役として活躍しているが、劇場用映画はこれ1本のみ。


あらすじ   (関連部分のみ)

目覚まし時計が7時29分を指し、主人公のアナベル・アンドリュースの自己紹介が始まる。「ここは私の部屋。こんなやり方が好きなの。いちいち探さなくていいでしょ」。部屋中に、物が散乱している。「これが私」。ジョディ・フォスターが映る。「13年前、マウントヴュー病院で生まれた。女性。生まれつきの金髪。青い目。身長5フィート2インチ〔157センチ〕。体重は忘れたけど、一応チェックしてる」。そして、歯にはめた矯正用のブラケットを見せる。「小さな弟がいるわ。ほら見て。きれいな髪、きれいな歯、きれいな目、きれいな睫(まつげ)」(1枚目の写真)「きちんとしてるでしょ。しすぎちゃいないけど、十分なほどしてる。それも、私に見せつけるため。“品行方正ないい子ちゃんだよ” って。気味悪る~。名前はベンだけど…」。ここで、アナベルの部屋のドアが、ノックなしに開き、ベンが顔を見せる。アナベルは、「サル顔って呼んでる」と言うなり(2枚目の写真)、振り向くと、ベンに「出てって。だいたい、ノックぐらいできないの?」と噛みつく。この紹介の後、アナベルと母が入れ替わったり、様々なことが起きるが、53分間ベンの登場場面はない。
  
  

映画開始後57分後のシーン。学校に弟を迎えに行った元アナベル〔今は母の体に入っている〕。13歳では運転できないので、歩いて買い物に行き、学校にも荷物を抱えたまま歩いて行く。元アナベルは、家で大混乱に巻き込まれる。取っ掛かりは、いつもお手伝いに来ている酔っぱらいの老婆シュマウスを混乱に乗じてクビにしたこと。それを聞いたベンは大喜び。元アナベルが「あんた、好きじゃなかったの?」と訊くと、ベンは「あいつが、好き?  ママ、大嫌いだったよ。文句は多いし、酒臭いし。だけど、一番の理由は、お姉ちゃんのことを わがまま娘〔spoiled brat〕とかブタ呼ばわりするのが許せないんだ」と答える(1枚目の写真)。その返事は、弟を嫌っている元アナベルにとって意外だった。「それって筋が通ってる? あんたは、シュマウスさんがアナベルを嫌ってるから彼女が嫌い。でも、アナベルはあんたが嫌い。なら、あんたはアナベルを嫌ってもいいのよ」。「だよね。でも、やってみたけど、できないんだ」(2枚目の写真)。「どうして?」。「一つ例をあげると、お姉ちゃんはアイディアの宝庫。たとえば、風船に水を一杯入れて窓から放り投げた時。あれは、サイコーだった」。「他にもママに聞かせてくれる」。しかし、ベンは友達を見つけたので、遊びに行ってしまう。元アナベルは、「思ってたより、ひねて〔finky〕ないのね」とベンを見直す。
  
  

その後、アナベルがベスト1の選手を務めるホッケーの試合があり、アナベルの姿で出場した元母は、オウンゴールまでする散々な試合運び。そして、映画開始後63分から、先ほどの続きの場面が入る。ベンの台詞が最も多いシーンだ。「お姉ちゃんは美人だし」。「アナベルが何だって?」。「美人だと思うよ。歯のブレースも好きだ。大きくなったら僕も付けたい」。「幸い、あんたには必要ないわ」。「それも心配なんだ。お姉ちゃんに、今より嫌われたりして。だけど、なんでこんなに嫌われるんだろう?」。「それはね、完璧な歯をした聖人みたいな青い目の男の子が、時間をきっちり守り、部屋を絶対汚さないからよ」。「だけど、そんなの、どうにもならないよ。顔は変えられないし、性格だって。だけど、お姉ちゃんに好かれるんなら、だらしなくしてもいい。現に、やったこともあるんだ。積み木や本やビー玉やレゴを片付けずにおいた。どうなったと思う? あの酒臭いシュマウスさんが、僕は子供だからって、全部片付けちゃったんだ。だから、何をしてもダメ。お姉ちゃんは、僕を嫌い続ける」。「なら、なぜ嫌い返さないの?」。「やったよ。でも、好きな人を嫌いにはなれないよ」(1枚目の写真)。元アナベルは、弟のことを完全に見直す。その後、ベンと家に戻った元アナベルに、父から過酷な電話がかかってくる。午後の会社のイベントの客に出す25人分の食事の用意をいきなり命じたのだ。それも、用意の時間は僅か3時間。怒った元アナベルは、受話器を叩きつけるように置くと、真の妻なら口にしない言葉で父を非難する。「男性優越主義者〔male chauvinist〕のブタめ」。それを聞いたベンは、「ママ、なぜ、パパを『男性優越主義者のブタ』って呼ぶの?」と訊く〔言葉の意味が分からなかった〕。「それがパパだからよ」。「どんな人のこと?」。「男性優越主義者のブタはね、3ヶ月かけて準備したパーティーに問題が起きると、面目を保つために妻に3時間で尻ぬぐいさせる夫のことよ」(2枚目の写真)。
  
  

次の登場シーンは、70分から。途中、短いシーンを挟み、元アナベルが父のために巨大な七面鳥のローストの準備をする。「オーブンを325度〔163℃〕に予熱しないと」。「どうやるの?」。「『予熱』まで回すの、バカね」といつもの調子で言いかけ、慌てて、「いい子ね」と言い直す。「オーブンを予熱しておけば、鳥が早く焼けるでしょ」。ベンがそれを聞いてオーブンを予熱しようとする。「20ポンド〔9キロ〕の鳥なら、6時間半ね」。「そんなに時間ある?」〔先ほど、3時間でと言われた〕。「じゃあ全開にして」〔特殊なオーブンで800度(427℃)/普通のオーブンは華氏500度(260℃)が上限〕。その時、電話がかかってくる。「出て」。「もしもし。待ってて」。ベンは受話器を持って、「ママにだよ」と言う。「両手がベタベタなの。分からないの? 相手は誰で、何の用なの?」。「どなたで、何の用ですか? 分かりました。話しておきます」。「校長先生からだったよ。アナベルの件で、相談の時間から15分遅刻してるんだって」(1枚目の写真)。元アナベルは、自分のことで一体何の用だと心配しながら、巨大な七面鳥をオーブンに入れる。そして、電話をかけて、前から気がある上級生のボリスに電話をかけて料理の手伝いとベンのベビーシッターを頼む。家を出る前に、元アナベルは、「鳥はオーブンの中よ。何があっても触らないで」と余分な注意を与えた後、「ひょっとして、何かデザート作ってもらえない? フルーツゼリーの素でも使って」と頼む。ボリス:「一度、チョコレート・ムースを作ったことありますよ」。「すごいじゃない。もう1回作って」。そこで、ベンが口を出す。「料理なんかするの? 女の子みたいだね」。ボリスは、「よく言うぜ。天蓋付きのベッドに人形の家まであるくせに」と からかう〔ボリスは、その日の朝、家に呼ばれた時にベンの部屋を見ていた〕。ベンは、「そんなの持ってな…」と反論しかけ(2枚目の写真)、元アナベルに口を塞がれる。そして、ボリスに、「言いたくないんだけど… この子、そういう話には敏感なの」と、これ以上言わないよう頼んで、校長に会いに行く。校長と担任に言われたことは、アナベルが突然変な生徒に変わったこと〔入れ替わったから〕
  
  

キッチンでは、オーブンが変な音を立てている。ベンが、「切った方がいいと思わない? 爆発しそうだ」とボリスに注意喚起するが、ボリスは、「触るなと言われたろ」と無視。そして、ミキサーにチョコレート・ムースの材料を流し込む。「どうなるの?」。「チョコレートが 卵白とブランディーと混ざる」。ボリスが席を立った瞬間、ベンが、「僕がやる」と言い、蓋をしていないミキサーのスイッチを押す。当然、中身は真上に飛び出し、あたり一面チョココレートだらけ。「スイッチを切れ!」。ベンがスイッチを切る(1枚目の写真)。「このバカ。最初から、やり直しじゃないか」。「ごめん」。その時、オーブンから煙が出始める。「ボリス、見て!」。「分かってるって。ベトベトなんだろ。来い、風呂に入れてやる」。その時、元アナベルが帰宅する。「まあ、サル顔じゃない。汚れた顔も似合うわね。泥のパイでも作ったの?」。ボリス:「ムース・パイです。手違いで破裂して」。「破裂? 冗談でしょ」。ベン:「ママ、七面鳥が」(2枚目の写真)。「チョコの兵隊さんは、洗ってらっしゃい」。元アナベルがようやくキッチンに行くと、室内には真っ白な煙が充満している。窓を開けて煙を出し、オーブンを開けたら、中の七面鳥は黒焦げ状態だった。
  
  

そこに父から、料理を催促する電話がかかってくる。そして、アナベル〔元母〕が、イベントの目玉として、これから水上スキーを披露することも知らされる。アナベルは水上スキーの名手だが、母はそうではない。元アナベルは暴挙を止めようと、テキトーに作った料理〔猫の餌に生麺とタバスコとオリーブの実とパン粉をかけたもの/焦げたローストターキーは、スモークターキーに〕を母の赤い小型車に乗せ、運転を一度もしたことがないのに、緊急事態なので、自分で運転して港に向かう。ここからは、完全にドタバタ喜劇。①最初は、間違えてバックして、隣の家のプールサイドでパーティをしていた人たちを全員プールに落とし、②パトカーを5台乗せたキャリアカーの前に突然割り込んで急停車させ、上の段に乗っていた3台が落下、それを見たパトカーが追跡を開始、③ここで、母とアナベルが再度入れ替わるが、シチュエーションは変わらない→車を運転しているのが本当のアナベルに変わっただけ、④60段の長い階段を降り、⑤道路工事用のコーンを20個跳ね飛ばして、1つが頭に被さり(1枚目の写真)、⑤高速道路の上の人道橋を無理やり渡り(パトカーは幅広で通れないので、コンクリートの高欄上を走る)、⑥コンクリートの排水路に入った後、分岐点にぶつかったパトカーが2つに割れる(2枚目の写真)などの あり得ないアクションで観客を楽しませた後、車は桟橋から海に転落して停まる。母がつかまっているハングライダーは、3人の乗った車の近くまで飛んできて(3枚目の写真)、無事着水。
  
  
  

その夜、ボリスは、アナベルを見ながら、「君って 素敵だ、アナベル。前とは、全然違っちゃったもんな。君みたいに冷静な子が好きだ」と言うが、先ほどのキチガイ的な運転の後だけに、現実と乖離した台詞に聞こえてしまう。2人が部屋から出てくると、ベンが、「2人で、どこ行くの?」と寄ってくる。ボリス:「ピザを買いに」。がっかりしたベンに、アナベルが、「一緒に来る?」と声をかける。母の姿に変身していた時に、ベンが自分を好いていてくれることを知ったアナベルが、態度を一変させたのだ。ベンは、「僕が? ホントにいいの?」と喜ぶ(1枚目の写真)。「ホントよ。おいで」。ボリスは逆に面白くない。食卓では、父が、午後の出来事について、どうしても腑に落ちないと妻を責めている。その2人に、アナベルが、「ピザを買いに行くわ? 他に欲しいものある?」と訊く。父は、妻の説明に飽き足らないので、アナベルにも説明を求める。アナベルは、母と同じような曖昧な答えをし、父をがっかりさせた後、「ママ、明日、ボリスとビーチに行っていい? 乗せてってくれる?」と尋ねる。母はすぐOKするが、父は、自分は仕事でいないと言う。ベンが、「僕、1人でどうしたらいいの?」と訊くと、母が、「明日は土曜。アイス・スケートがあるでしょ」と言う。「アイス・スケートなんか嫌だよ。脚は冷たいし、足首が痛いもん」。父:「パパが子供の頃は、アイス・スケートが大好きだったぞ」。「パパは、自分が好きなことができる。凧を上げたり、オートバイに乗ったり」。「両方を比べたら、お前の方が羨ましいぞ」。「僕だって」(2枚目の写真)。妻は。「私なら、これ以上深入りしないわ。ベンと入れ替わりたいと思うなんて」と夫に言い、アナベルは、「そうよ、パパと入れ替わりたいなんて思っちゃダメ」とベンを諫める。しかし、父とベンが、同時に、「代わりたいよ」と言ったところで、エンディング〔この映画の最初で、母とアナベルが同じ言葉を同時に言った時、2人は入れ替わった〕
  
  

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